LPS


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リポ多糖(lipopolysaccharide,LPS)とはグラム陰性菌の主に桿菌で細胞壁表層にある脂質と多糖の複合体のことです. 細菌には細胞質膜の外側に細胞壁があります.グラム陰性菌の細胞壁の内側はペプチドグリカン層で,外側は外膜で構成されています.外膜そのものは脂質二重膜ですが,それとともに外膜を構成するものにLPSがあります.

LPSの構造

LPSの構造は複雑で,菌の外側には糖側鎖部分,内側にはリピドA部分,この間を連結している糖鎖(コア多糖)の3つの部分から構成されている. 温和な加水分解でリピドA部分,コア多糖,末端のO抗原多糖に分けられます.

糖側鎖(O抗原多糖) コア多糖 リピドA
ガラクトース,マンノース,ラムノースなどの3~5種類の5または6単糖でできた基本構造がくり返し,非還元末端を外界にむけて存在し菌体を覆っています(菌表面の20-30%).この反復は通常25回以内です.構成糖の種類は同じ菌種であっても多様性に富んでいる. 複数の異なった糖質によって構成されています.O側鎖構成糖以外にも8炭糖のKDOや7炭糖のペントースなどでも構成糖となっています. これらの糖は主に疎水性の強い糖です.類縁菌では一定の構造をとり,菌種間の構成成分や構造の違いは比較的少ない部分です. 2つのグルコサミンがβ1-6結合しており,それにリン酸と6つの脂肪酸鎖が結合した構造をしています.複数の長鎖脂肪酸が外膜の脂質部分に挿入することによって外膜構成成分の一部を形成しています.(グルコサミンの2~8糖類単位がピロリン酸結合によってつながった連鎖とグルコサミンのアミノ基がアシル結合してできたβ-ヒドロキシ脂肪酸からなっています)
菌表面の親水性を決定しています.菌種ごとに特異的な抗原性を担っている.親水性の性質を決定す,O特異鎖が短くなると疎水性に傾きます.この部分が存在する親水性の菌はスムーズ型(正円形,湿潤,平滑)のコロニー形状を示しますが,変異などでO糖鎖がつくられなくなるとRコアだけになり疎水性となりラフ型(辺縁不正,乾燥,粗面)のコロニーを形成する. 異なった糖の種類や,その組合せの違いにより同じ菌種であっても数百~数千種類の抗原決定基を形成しています.これを利用して菌の血清型別が行われています.   この部分は種々の内毒素活性の大半を担っています.

LPSの生物活性

LPSはグラム陰性菌に特有のもので,動物に対して毒素活性をもち,内毒素(エンドトキシン)と呼ばれています.通常,細胞壁に強固に結合していますが,細胞の溶解が起こったときにのみ遊離し,生体に様々な反応を引き起こします.

内毒素はタンパク毒素である外毒素と異なり,熱,乾燥,消毒剤に対して強い抵抗性を持ちます.活性の作用はリピドA部分のものがほとんどです.しかしリピドAそのものは水に不溶ですのでそれだけでは活性を示しません.多糖部分の大きな親水性により可溶化して,水溶液中ではミセルを形成して運ばれれ活性を示します.

LPSは補体を活性化し,サイトカインを放出します.細菌を除去する方向に働きますが,これらのサイトカインなどが過剰になると宿主に毒性をしめし,ショックなど死を招くことがあります.

LPSにようり細胞が刺激されるとIL-1, TNF-α, IP-6, IL-8, 血小板活性化因子(PAF)などのサイトカインを誘導放出を促進し,補体の活性化や凝集,傷ついた内皮表面への血小板の沈着など生体に様々なさようを及ぼす.
自然免疫の活性化 LPSはToll-like Receptor(TLR4)のアゴニストであり、自然免疫系においてマクロファージや樹状細胞を活性化する。
補体系別経路活性化 LPSは補体を第2経路において活性化させ,マクロファージや他の細胞からサイトカインや他の免疫調整物質を放出します.これらの生理活性物質は宿主の生体防御機構の正常な作用とそていは細菌を除去する方向に働きます.
ショック(エンドトキシン・ショック) 大きな膿瘍などで,大量の抗生物質が投与されたりすると,一気に菌が崩壊してLPSが菌体からいっきに放出され血流に流れ込み,血圧低下,心拍量の低下による循環器障害,などのショックを起こし,時には死にいたります.
発熱 パイロジェンとして発熱させます.哺乳類の体温は脳内に特定の中枢で調節されていますが内毒素は特定の中枢に直接作用するのではなく多核白血球の内因性発熱物質の放出を促進すると考えられています.
アジュバント活性 免疫増強
マクロファージの活性化 リンパ球活性化因子やプロスタグランジン,腫瘍出血壊死活性因子(Tumor Necrotizing Factor, TNF)等の活性因子を放出させます.おもにO抗原糖鎖部分の働きです.
外膜成分の一部として物質透過に関与している  
抗腫瘍作用
一部ファージのレセプタ バクテリオファージφX174はスパイクと呼ばれる突起を持ち,感染の際にスパイク部分で細菌細胞表面のLPSをレセプタとして認識している.
循環器障害,補体の活性化,血管内血液凝固,シュワルツマン反応
病理作用:発熱(細菌性熱物質,パイロジェンとよばれた),白血球全般の減少と増多,低血糖,低血圧,主要臓器の機能不全および致死性のショック作用.このショック症状は内毒素の直接的な作用ではなく,リンパ球や血管内皮細胞などでLPSの刺激により分泌されたサイトカインなどにより引き起こされると考えられている. 直接作用としてはサイトカインやオーダアコイドの誘導,アジュバント作用が知られている. 中枢神経細胞,筋肉細胞の障害,凝固因子,排出促進物質の活性化 血管の収縮と拡張,薬物代謝酵素の阻害
シュワルツマン反応 内毒素の2回目の注射で惹起され起こる出血壊死を伴う非免疫学的炎症反応
血管系の障害 血小板凝集によるセロトニンの放出
インターフェロンの誘発
遊走性阻害
マイトージェン活性(?) 脾臓から分離したBリンパ球に作用させると,DNA合成が促進され,幼若化し細胞分裂が起こる.
PBA活性 マウスのB細胞を非特異的に抗原刺激なしに抗体産生細胞へと分化させ,抗体を産生を促します.