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| 卵黄寒天培地上の 黄色ブドウ球菌のコロニー (田中美智男氏提供) |
この菌はヒトの皮膚、鼻前庭、鼻腔粘膜などに常在し、傷口から侵入して化膿性疾患の原因となります。これらの疾患には、フンケル、蜂巣炎、結膜炎、膿痂疹(とびひ)などがありますが、敗血症を引き起こすことがあります。黄色ブドウ球菌が原因となる疾患には化膿性疾患以外に毒素型食中毒や毒素性ショック症候群などがあります。
| 皮膚疾患 | |
| せつ(フルンケル、おでき) | 毛のうおよびその周囲の限局性化膿性疾患.まず発赤し,半球状に腫れる.エンドウ豆大の硬結になり先端に膿栓を形成する.好発部位は頚部,顔面,臀部,足などである. |
| 癰(よう) | せつが症状がひどくなり範囲に拡大し,セツが2個以上の毛のうの化膿炎である(せつの集団).広い範囲で発赤し,強い痛み,圧痛,発熱を伴う. |
| 蜂窩織炎 | 化膿菌による皮下組織などの組織内の急性化膿性疾患 |
| 伝染性膿痂疹(とびひ) | |
| 麦粒種 | |
| 他の器官臓器感染 | |
| 肺炎,膿胸,心内膜炎,髄膜炎,関節炎,気道感染症,膀胱炎,尿道炎,腎膿瘍などの皮膚化膿症,その他,中耳炎,髄膜炎,関節炎,脳膿瘍,敗血症など | |
黄色ブドウ球菌の産生する毒素性ショック症候群毒素(TSST)という外毒素による病原性を示すショック状態などをおこす.
.症状は,トキシックショック症候群(Toxic Shock Syndrome, TSS)と呼ばれる様々な症状を起こします.すなわち発熱,発疹,下痢,嘔吐,腎臓の機能障害,低血圧,ショックなどです.これらは食中毒原因毒素であるエンテロトキシンおよび類似の毒素が抗原提示細胞のMHCクラスII分子の非特異的に結合しT細胞を活性化し,サイトカインを短期間に大量に誘導するためリンパ球をはじめ免疫に関与する細胞が異状に活性化し免疫反応を撹乱しである.
1978年にToddらによって提唱された乳幼児の高熱・頭痛,しょう紅熱などを伴う新しい型の黄色ブドウ球菌感染症として報告された.
1980年にはアメリカで月経処理のためある特定メーカーのタンポンを使用した女性の間で流行し,ショックなど激しい症状を示し注目された.これはタンポン製造過程で十分な消毒が行われなかったために汚染した黄色ブドウ球菌が膣内のタンポンで増殖しTSSTが産生され裂傷部や炎症部から吸収されることによって起こった.高吸収性を歌った製品を、今までになく長時間使用したために起こった悲劇といえます。
また,乳児にもこのTSSTが見られるという報告もある.
毒素性ショック症候群(Toxic Shock Syndrome, TSS)
スーパー抗原という性質をもつ毒素を産生する菌により起こるショックを伴う場合もある感染症で,黄色ブドウ球菌や化膿性レンサ球菌などおおくの細菌が産生するスーパー抗原が原因で起こる.
| 毒素および病原因子 | |
コアグラーゼ | 黄色ブドウ球菌の中でコアグラーゼを産生する菌では、コアグラーゼが大量に産生され、産生されたコアグラーゼは血漿中のプロトロンビンと結合して複合体(スタフィロトロンビン)を作ることで活性化させ,このスタフィロトロンビンがフィブリノーゲンをフィブリンへと変換し血漿を凝固させます。これは宿主の食細胞に食菌されるのを防ぐためと考えられます.この酵素の有無はウサギ血漿を用いた凝固試験で黄色ブドウ球菌の同定に利用されています(コアグラーゼ試験). |
α毒素 | マンニットを分解性の菌ではα毒素を産生します。 |
ヒアルノニダーゼ | 結合組織の主成分の一つであるヒアルロン酸を溶解させる酵素で,生体に対する菌の侵襲性を容易にします. |
マンニトール分解酵素 | このブドウ球菌が黄色ブドウ球菌であるか否かを決める指標となる. |
staphylokinase | 血栓のフィブリンを溶かす繊維素溶解酵素です. |
エクソフォリアチン | ブドウ球菌性皮膚剥脱症候群,リッター新生児剥脱性皮膚炎, 熱傷様皮膚症候群,SSSS)の原因毒素です.強い自発痛をともなう. |
ロイコシジン | 白血球を特異的に殺傷するタンパク毒素で,一般的感染抵抗性を障害します. |
DNA分解酵素 | 菌の同定に用いられている. |
プロテインA | IgG抗体のFc部分に強い結合力をもっています.オプソニゼーション阻害し食菌を阻害するという考えがある. |
毒素ショック症候群毒素(TSST-1) | 毒素性ショック症候群(Toxic Shock Syndrome, TSS)の原因毒素ですが、スーパー抗原としての働きがあります。 |
lipase | |
acid phosphatase | |
penicillinase | |
PBP2' | PBP2'をもつ黄色ブドウ球菌はMRSAと呼ばれ,多くの抗生物質に耐性で病院内感染の菌として重要です。 |
エンテロトキシン(SEA-SEE) | ブドウ球菌食中毒の原因毒素で嘔吐をおこします.耐熱性のタンパク毒素です. |