症状潜伏期は5時間~3日で、多くは12~24時間で発症します.発症初期には悪心、嘔吐、時に腹痛,時には下痢などの胃腸障害に引き続いて視力低下、遠近調節障害、複視、散瞳、対光反射の遅延、眼前近距離での対象不鮮明、複視、眼瞼下垂、などの眼症状、また、発語障害、構音障害(しわがれ声)等の発声障害、嚥下障害,口渇等の球麻痺症状をおこし,その後進行すると便秘,尿閉,四肢の麻痺、腹部膨満、横隔膜麻痺による呼吸不全によって死亡します。致死率は20%程度といわれています。症状から、喉頭ガン、脳梗塞と診断されている場合もあり、早期の診断が重要で,抗毒素血清療法が可能です。治療に成功すると後遺症はありません. |
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| ボツリヌス毒素を静脈注射されたマウスは 呼吸筋麻痺のため腹部を大きくへ込まします. |
| 「腸詰」中毒とボツリヌス菌の発見 |
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ボツリヌス菌は嫌気性有芽胞菌で、食品中でボツリヌス毒素を産生し、食餌とともに毒素を摂食しておこる神経症状を主症状とする食中毒を起こします.ヨーロッパでは古くからソーセージやハムを食べてなる奇異な食中毒があることが知られていました.特にハム、ソーセージの製造、消費が多い南ドイツでは早くからこの疾患に気付いていました.`1870年、ミューラー博士はこれを、ボツリヌス(botulinus,ラテン語で「腸詰め=ソーセージ」を意味するラテン語botulus)中毒と命名しました.
ベルギーでは葬式には楽団が葬楽を演奏する伝統がありました.1895年12月、葬儀の34名の楽士が昼食をとりました。食事には塩漬けにしたハムが出されました。その翌日から、その大多数がボツリヌス中毒特有の麻痺を起こし、その内13名が重症となり、内3名が死亡しました.ヴァン・エルメンゲム博士はハムの残りと死亡者の脾臓から嫌気性有芽胞菌を分離し、この菌を詳細に調べ、この菌が恐ろしい毒素を産生するボツリヌス中毒の原因菌であることを突き止めボツリヌス菌と命名しました. ボツリヌス菌の発見当初からボツリヌス毒素は知られていました.ヴァン・エルメンゲム博士は、ボツリヌス菌は動物の体内で増殖しないが保存食品の中で増殖すること、毒素を産生すること、動物によって毒性が異なり、5分の煮沸によって毒素は破壊されること、毒素は酸に安定で、アルカリに不安定である等現在知られている毒素の基本性質をその当時既に報告しています. |
日本でのボツリヌス中毒日本では戦後から現在までに400名を上回る患者がでており,死亡率は20%を上回っています.原因食のほとんどは北海道、東北地方でイズシ,キリコミで,また滋賀では郷土料理のハス寿司でE型の中毒が起こっています.これらナレズシで起こったボツリヌス中毒のほとんどすべては家庭で作った自家製のものです. これらはいずれもE型による中毒です.しかし最近は宮崎,東京,栃木などで輸入した瓶詰,缶詰ででA型やB型の中毒も起こっています。また熊本のカラシレンコンなど他の原因食品でもおこっています. |
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イズシ,手前がニシン, 後方がベニジャケで作ってある | |
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| キリコミ | |
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| 芥子蓮根 |